私の同級生で友人でもあるピアニスト中谷路子さんのコンサートへ行ってきました。津田ホールでの演奏は二回目です。
今回は、中谷さんの師であるカールマン・ドラーフィ氏と同氏に師事している関野直樹氏の三人でのリサイタルでした。

いつも彼女のリサイタルを聞きに行っているのですが、今回はそれぞれのソロ、二人での連弾、三人での連弾(!)まで、様々なピアノを聞くことができました。曲目は違えど、一度に三人ものピアノを聞き比べることができるのは初めての体験です。
先生と二人の弟子という構図でしたが、それぞれ一人で弾く時と先生と連弾する時とでは、緊張の度合いが違うのがとても伝わってきました。どちらも緊張していることには変わりないのですが、先生と弾く時はさすがにガチガチに固まっている感じがちょっと微笑ましく見えました。

そして、やはり「先生」というのはすごいんですね。グランドピアノから流れ出してくる音の重さが生徒二人とは明らかに違う以上に、先生自身から立ち上ってくる気迫とでもいいましょうか、エネルギーが違うのです。単純に「素晴らしい」という言葉だけでは表せない鬼気迫る音が会場を支配するような、決して否定的な意味ではなく、その音と雰囲気に圧倒されるのです。
これが、ずっとピアノに向かい続けている人の音なんだな、と。
そう、感じました。
もちろん、中谷さん、関野さん二人の演奏も素晴らしいのですが、やはり人生という重みも加わった先生の音色は、厚みが違います。それをまざまざと見せつけられた、非常に興味深いコンサートでした。

最後に三人で身を寄せ合って連弾をしていたのは、かなりご愛敬です。
男二人が連弾しているだけでもむさ苦しいのに、三人でなんて!辛うじて中谷さんが女性であることが花を添えていました。
でも、その三人で一つのピアノをタイミングを合わせて弾く、というのもまたすごいことなんですが。

ピアニストが広いステージでたった一人でピアノに向かう姿は、私はとても好きです。
誰も寄せ付けない、ぴんと張り詰めた糸がピアノとピアニストの周りに張り巡らされ、静かに戦いを挑むような、流れ出てくる音は柔らかいのに、そこにはピアノとの壮絶な対話が繰り広げられているような、その雰囲気は人間よりも大きな楽器を相手にしているピアニストならではの感覚だと思います。

新年早々、素晴らしいコンサートでした。

Posted by miho | 2010/01/11 | | 0 コメント »

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